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宝塚大劇場新人公演「ミリオン・ドリームズ」

 

注目の姿月あさと、組替え後初の新人公演、しかも初主役とあって、大劇場には予想以上の多くの人が集まり、チケットを手に入れようとする人々がロビーにあふれ、姿月に対する興味、期待の大きさを感じさせた。そんな客席の中行われた月組新人公演はキャリアの無い新人には難しいとされている、ショー作品であったが、大きな失敗もなく、レベルの高い非常に満足のいく舞台であった。

「早咲き、遅咲き」という言葉が良く用いられるが、天海祐希と姿月はまさにその典型であろう。二人は同期生だが、天海のトップ披露公演で、姿月が新人公演の初主役をしているというのは、偶然ながら面白い。

大柄で伸びやかな美しさは二人に共通しているが、今回の舞台で姿月は、オフのおおらかで優しいイメージと違って、意外とシャープで男らしい所を見せた。甘い歌声は良く伸びて聴かせ、客席の誰もが拍手を送ったであろう。最後に大階段を降りて来た時には、大きな羽根に負けない頼もしさがあり、嬉しそうな笑顔も印象的だった。後はダンス等の動きがもう少し滑らかになれば申し分ないだろう。

風花舞は今や場数を踏んだ堂々としたスターになった。ダンス場面での存在感、気持ち良さはやはり抜群だ。

汐風幸は、今回ショー作品だった為もあり、大柄で華やかな新人達に押され、全体的に地味な印象になってしまった。歌も精彩を欠いており、「グランドホテル」新公での好演が記憶に新しかっただけに残念だ。

今回活躍の場を与えられた樹里咲穂は、動きが美しく、卯城薫の歌は、意外と低い声が良く通り、二人共実力のある人だと思った。

彩輝直と成瀬こうきに、以前花組で愛華みれと真琴つばさが歌っていた「YOU」を歌わせたのは嬉しい企画。長身で対称的な個性の二人は歌もしっかりしており、とにかく絵になる。将来の愛華、真琴になれるか。

他の娘役では山吹紗世、瑠菜まりが切れのいいダンスを見せていたが、全体的には華やかさが今一歩。しかし男役の方は他にも、鷹悠貴、嘉月絵理、祐輝薫等目立つ人が多く、若手男役は本当に層が厚くなった。

姿月はここ一、二年で急成長し、組替え等の運にも恵まれ、今まさに「時の人」を感じさせる。同期に比べ少々遅いスタートだが、遅咲きの姿月のサクセス・ストーリーは今始まったばかりである。これからの活躍を期待している。

 

これも思い出深い新公です。すごーく、良かった! 「遅咲きの姿月のサクセス・ストーリーは今始まったばかり」って、本当にその通りになりましたよね(^_^;)。

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