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激情/ザ・レビュー'99 宙組大劇場公演・6/25~8/9 「激情」は柴田&謝シリーズの第二弾。今回も大満足でした。特筆しなければならないのが日比野克彦による装置の美しさ! 舞台のまわりや花道の赤い光など、斬新で、さすがと唸らされました。有村淳の衣装も良い。 ただし、物語のラストの場面はカットして欲しかったです。妙に宝塚的演出で私には興醒めでした。華やかで美しすぎる装置も唐突です。 「ザ・レビュー'99」は、「ノバ・ボサ・ノバ」に引き続き、二組で上演される今年の目玉のショーですが、残念ながらそれほどの名作とは言えないものでした。まず、メインと思われる「夢人」が、初演当時は絶賛されたものだったのかもしれませんが、今の私が見る限り、面白くない上に長過ぎます。もっと他に良い場面はなかったのでしょうか。それに全体に衣装が悪い! これが、相当足を引っ張っているような気がしました。 出演者で見ると、やはり今回も姿月あさとと花總まりのトップコンビの力が絶大でした。 オフのイメージからか、淡白な印象のあった姿月に「激情」のホセとは・・と、見る前には危惧がありましたが、うっかりしていました(^_^;)。そう、舞台の姿月は違うのです! 「エリザベート」のトートで「直情的で、押しまくる男らしいトート」という姿月独自の持ち味を、はっきりと見た所だったのに! 今回のホセも、そのトートの延長線上にある役だと思いました。とにかく全てはカルメンの為・・どうにも自制がきかなくなってしまった不器用な男を力強く演じて男らしい。見た目は立派ながら、溢れる思いを多くのナンバーに託して、声に、表情に見せる憂いがたまらなく魅力的でした。全体に、とても色気が出るようになってきましたね。 ショーでもその魅力が溢れて、プロローグの「アイ・ラブ・レビュー」の歌い方が色っぽい(^_^;)! 白の衣装のタンゴはうっとりする美しさです。 そしてオペレッタでは、私事ですが、一路真輝ファンだったので腰を抜かしそうになりました(^_^;)! 「君こそ我が心の全て」を姿月で聞くことになろうとは・・。懐かしくて、涙が出そう・・でしたが、短くて少し残念でした。上手かっただけに、全部聞きたかったです。 アトランティック・オーシャンでは黒エンビの端正さがさすが。花總との大人っぽいデュエットもムード満点でした。夢人は、冒頭の少年姿が一番! 姿月ならではの可愛らしさです。フィナーレのデュエットもみずみずしい。 カルメンの花總まり。本当に素晴らしい娘役ですね! 宙組になって以降、「エクスカリバー」のロザライン、エリザベートと、十分の出来ながら、少し落ち着きすぎの感があったのと、痩せすぎて美貌が落ちているのではないかとの心配がありましたが、今回のカルメンはずっと見続けている私でも目の覚めるような美しさ! 登場の際のインパクトの強さ、連行の際の誘惑の迫力、自然と客席からも拍手の起こったフラメンコのソロ、どれも今の花總でしか考えられない様な、突出した頼もしさを感じます。 ショーでは、プロローグのダルマ姿が一番! 今更ですが、足長いです~(^_^;)。後はオペレッタの気品ある姿が花總の本領で、何度見ても良い(^_^;)。でも、ここは姿月の衣装とのバランスを考えて、もっと良い衣装にしてあげて欲しかったですね。その点含めて、衣装でかなり損をしている気がしますが、多くの姿月とのデュエットは文句ない美しさでした。 和央ようかもだんだんと頼もしさが増してきましたね。メリメの方は理性的で、ホセとの対比が出ていましたし、ガルシアでのホセとの対決シーンは、長身の二人だけに迫力ありました。ショーでも、今回は落ち着いた雰囲気を全面に出していて、大人っぽくなったな、と思いました。間奏曲のジゴロの場面が、かっこ良かったですね。 湖月わたるはエスカミリオ。人気のマタドールという文句なくかっこ良い役で、登場の時の爽やかさは湖月ならでは。非常にキザに、かっこつけているのですが、その辺りがいまいちサマになっていないのが物足りない。もっと色気が欲しいですね。ショーでも、ロケット、アトランティック・オーシャンの銀橋で歌う男の、覇気ある爽やかさが良いです。 以下の陣容では、若手にもようやく色々な注目株が見えるようになって、やっと「宙組」メンバーにも慣れてきたような気がしました(^_^;)。相変わらず中堅の職人グループが頼もしいことに変わりはないですが、樹里咲穂が折角組替えしてきているのに、それ程やり甲斐のある役ではなかったのが残念でした。夢輝のあのキリリとした美しさと端正な動きも目につきましたし、久遠麻耶の色気ある目にも注目。もっと有望な若手を売り出して欲しいですね。 (満足度 ★★★★★) |
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