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カナリア

花組ドラマシティ公演・・12/21~29

花組ドラマシティ公演「カナリア」観てきました。

正塚先生流、素敵な大人のおとぎ話。肩をはらずに、素直にチャーリー(匠ひびき)の持ち味を生かしてくれた作品で、とても良かったです。

ヴィムの匠ひびき。まずはその髪型に驚きます(^_^;)。身長が5cmくらい高くなっているんじゃないでしょうか。
でも、舞台を見ていて、すぐに思いました・・「これはみどりちゃん(大鳥れい)に合わせる為に違いない!」すみません、すみませんっ!!
でも、本気で、そう思ってます(^_^;)。

そう思う位、大鳥と似合っていたんです。今回はこれを特筆しなければ始まりません。
ぜーったい、似合わないと思っていました。柄が違いすぎます。「母と息子に見えるんじゃないか?」と思っていました(^_^;)。
トップとしての期間が短いと分かってからも、それでも、一作でも舞風りらと組めないものだろうか、とか、「琥珀」なら、シャロンを檀れいにしてもらえないだろうか、等と思っていたくらいです。本当にすみませんm(__)m。

トップになってからの大鳥で、あまり好きな役がなかったのも正直な所です。それが今回のアジャーニは良かった! 「ヴェロニック」のアガート以上の好きな役に、ようやく出会えた気がします。

「不幸を絵に描いたような女」と聞いて、もっと暗~い女性を想像していましたが、大鳥は一文無しのルンペン直前の格好で登場。生き生きと気持ちの良い不幸っぷり(?)で、コメディとしての上手さも十分。一気に物語に引き込まれました。

悪魔と人間の女性、という立場の違いも、匠と大鳥には良かったと思います。匠はその髪型もあり、ちょっと斜に構えた仕草といい、時節柄か、マオさん(大地真央)を思い出してなりませんでした。どちらも頭が小さいですし、あの髪型も変にはならないんですよね。

相手役を見下ろす眼差しがたまらなく色気があって良いです(*^。^*)。髪型で頭の大きさの差も気にならなかったし(何度もすみません)、意外と身長差もあって、二人が近寄って見つめ合う図が素敵でした。二、三度そんなシーンがあったのですが、それを楽しみに通いたいと思った程です。

ヴィムに惹かれてからの大鳥の芝居も見事。物語を引っぱっていたと思います。
それだけに、一幕からずっと、物語の「どうすればアジャーニは不幸になるのか?」という点が気になって仕方がなかったです。
アジャーニがすごくヴィムに惹かれているのが分かるし、それが良かっただけに、アジャーニにとって、ヴィムに去られる事が、何よりの不幸になるのではないのでしょうか? ヴィムは悪魔学校を卒業できたのでは?
観客がそういう女心(?)で観てしまう事を、正塚先生は予想しなかったのでしょうか?

一幕、アジャーニが警察に逮捕される事が、悪魔の怒りを買います。「ヴィムがよりによって警察の手助けをした」と。
でも、警察に捕まったアジャーニは不幸だと思うんですよね。つまり、精神的な不幸と、倫理的な悪事との考え方がはっきりしなくて。
悪魔にとって、アジャーニが不幸になるにはどうすれば良かったのかが、良く分かりませんでした。

基本的には好きな作品で、最後のオチも、可愛くて気に入っているのですが・・。
何か核心を避けているような気がするのは「Practical Joke」と変わらず、と言えるかもしれません。

フィナーレのデュエットでは、匠と組むと、大鳥も動きがキレイになったような気がします(^_^;)。たもさん(愛華みれ)ごめんなさいm(__)m。
本当に、意外な程、デュエットも良かったです。

もちろん、男役の黒タキシードの群舞もあって、それがもう、匠の背中に、「お待たせしました」の文字が見えましたね(^_^;)。待ってましたよ~。
匠の動きの良さもさることながら、群舞のバシッとした揃い具合が嬉しくて。
絶対に花組全体にも、匠がトップの今、ダンスの花組を見せなければ! という意識があっただろうと思います。
一つだけ言うなら、私的には、匠があの大きな頭のままだったのが残念でしたけれど(^_^;)。

とにかく、次の大劇場公演がずっと楽しみなったトップコンビ振りでした。私には大収穫です。

春野寿美礼遠野あすかが神父とシスターのコンビ。「きっと次期花組トップコンビなんだろうな」と思わずにはいられない程、ずっと一緒でしたが(^_^;)、見た目のバランスも良く、似合っていると思いました。

春野は大鳥との燭台のやりとりが面白く、歌も良い。
遠野は実力があるのは知っていましたが、舞風、沢樹くるみらがいる娘役の群舞のセンターに位置しても、違和感がない華やかさに感心しました。彩乃かなみとのトレードはヒットだと思います。
ニュースキャスター役では、スタイルの良さといい、コケティッシュさといい、思わず目を奪われてしまって、春野が大人しく見えるくらい(^_^;)。

瀬奈じゅんはヴィムの後輩の悪魔で、見た目が相変わらずかっこ良い(^_^;)。
瀬奈筆頭に、匠に付き従う小悪魔達が舞風、桜一花、高翔みず希、達つかさ、沢樹、水月舞の可愛らしさとキビキビした動きが目立ちます。ボブの鬘が似合っていますね。

矢代鴻はいつもの「良い女」路線でなく、悪魔学校の校長先生というコミカルな役所でしたが、見た目に派手に工夫して、いかにも存在感がありました
きっと、正塚先生の意図として、「可愛いヴィムを手放したくないわ、おばちゃま。」みたいな(^_^;)、匠のファンとかぶせるようなキャラのイメージがあったのではないかと思うのですが、その辺り、もっとオーバーに見せて欲しかったです。
この役も未沙のえるだと面白かっただろうなぁ(もちろんおばちゃまでね)。

その未沙のえるは、物語のキーパーソン。持ち味通りの役柄でバッチリでした。
それにしても、正塚先生、物語にルンペンを出すのが好きですよね(^_^;)。

彩吹真央は人の良さそうな刑事。役不足だけれど、台詞が男役では抜群に上手いし、今回は席が遠かったせいか、ダンスシーンでのスーツの着こなしと、動きの良さが何度も目につきました。
部下の役が桐生園加。台詞はほとんどなかったけれど、存在が可笑しかったです(^_^;)。まだまだ可愛らしいけれど、客席の反応も良かったし、既に人気の男役になっていそう。

蘭寿とむは、最初大鳥に凄むチンピラだったのが、匠の力ですっかり従順になってしまって・・という役。とにかく目立つし、愛嬌があるし、ピッタリの役でした。持ち味を良く分かってるわ~、正塚先生(^_^;)。
従順になったのは良いけれど、ヴィムは放ったらかしですし、何かもうちょっと物語に生かして欲しかった気はします(^_^;)。

正塚先生の作品は、役が少ないんですよね。愛音羽麗も、もう少し何か活躍する所が見たかったです。「まじっすか?」の銀行員はなかなか可愛かったですよ。ルンペンの方は、存在の意味が良く分かりませんでしたが(^_^;)。

(満足度 ★★★★★)

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