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Over The Moon-月影瞳クロニクル-

雪組バウホール公演・・11/24~26

バウホール公演「Over The Moon-月影瞳クロニクル-」を観てきました。

「歌劇」誌の記事からコメディだと思い、月影最後の怪演(コラコラ)が観られるのかな~? と楽しみにしていたのですが(^_^;)、意外や意外。凝りに凝ったサヨナラショーの豪華版、といった構成で、荻田先生の愛情のこもった贅沢なプレゼントに、大泣きさせられてしまいました。

千秋楽前に2公演サヨナラショーをするトップスターよりも、今回のショーを上演した月影の方がずーっと恵まれている、と思えるショーでした。でも、これくらいあっても当然の、ヒロイン役の数々ですよね。
ミュージカルナンバーがプログラムに載っているのですが、私、全公演観ているんですよ。新人公演も良く観ていた時期に活躍していたので、ヒロインで見逃した役があるだろうか? と思う位です。
月影を中心で観ていた訳ではないですが、ずっと好きな娘役さんでした。当時の舞台を思い出す事が多く、好きなスターさんのサヨナラショーを観られたような嬉しさがありました。

ご覧になれなかった方が多いと思うので、軽く内容も紹介しながら書いていこうと思います。

幕が上がると、記者のフレッド(神月茜)が登場。女優グレイス(月影)の再起を賭けたリサイタルへと、観客を導きます。

紗幕が上がると水色のドレスを着た月影。オリジナル曲「クロニクル・オブ・アクトレス」を歌います。

リハーサルが行われている会場に、無許可で忍び込んでいたフレッド。マネージャー兼ボディガードのチッチ(天希かおり)ミッチ(風早優)に取り押さえられてしまいます。

グレイスのファンで、真実を知りたいフレッドの熱意に、チッチとミッチは喜んで、彼に会場の隅で観るように言います。

神月は大抜擢ですね。特に声が良くて、歌のソロにも活躍していました。二枚目を目指すなら、もう少しスッキリして欲しいですが。

「ベルばら」より『サ・セ・パリ』グレイス役の女優(森咲かぐや)はダルマ姿。サーカスの一座からタイロン(悠なお輝)にスカウトされ、母親を楽にする為に、一座を離れる事に。
同じ一座のチッチとミッチもついていく事になります。

森咲が良くガッツボーズをして、根性をアピールするのが、いかにも月影の役らしくて楽しい(^_^;)。

「ザ・フラッシュ!」より『あなたはフラッシュのよう』
初仕事はパスタのコマーシャル。もちろん曲は「ファンシー・タッチ」より『パスタ・ガール』(^_^;)。赤のドレス姿なのが残念。あのピンクのミニスカート、可愛かったなぁ。

タイロン社長は大もうけ、グレイスの為に映画会社を買収します。
「アップル・ツリー」より『エデンの園』。夢に見た撮影所です。
初主演作として「ドニエプルの赤い罌粟」のパロディを。ヨアンナは舞坂ゆき子で、コメディだけれど、衣装も台詞もそのままで懐かしい。相手役の声が壮一帆で、キザ~に演っていて、面白かったです(^_^;)。

女優として大成功したグレイス。休養にタイロン社長とマイアミへ。「ラ・ノーバ!」より『マイアミのディスコ』
アンリ(立樹遥)登場。恋に落ちるグレイス。「貴方は素敵よ」と、「ドリアン・グレイの肖像」より『プリンス・チャーミング』を。

タイロン社長の怒りを買いますが、まだ夢から覚める事はできません。
「ベイ・シティ・ブルース」より『スピーク・ロウ』。この曲、吉田先生のオリジナルだったんですね~。びっくりしました。洋楽スタンダードだと思っていましたよ。好きな曲です。
麻愛めぐるの歌。白羽ゆり中心の、黒エンビ&黒ドレスのデュエット。「Rose Garden」のジェラシーの場面でも組んでいた二人。衣装も同じかも。美しいコンビです。二人とも覇気があって、他の場面でも目立ちました。

続いてアンリとグレイス。この苦しさが恋? ずっと夢見ていた・・と、「スパルタカス」より『いつも夢みてた』を。
白羽が「カサノバ・夢のかたみ」より『夢のかたみ』
朝になっても、夢から覚めないグレイス。「けれど夢の中で目覚めたときに」より『けれど夢の中で』

しかし、実は女優を誘惑して撃ってしまった事があるという「凱旋門」そっくりの経歴を持つアンリ(^_^;)。世間知らずのグレイスを誘惑して、甘い汁を吸おうというのが目的でした。
「メランコリック・ジゴロ」より『完璧な計画』。この作品も良く観たので、懐かしかった~。

グレイスに渡す花を買いに行くアンリ。花売りのロージィ(愛田芽久)と出会います。
「Rose Garden」より『ラ・ヴィオレテラ』はバックミュージックだったのかな? 「Icarus」そのままの、心の清らかな盲目の少女に、アンリは心洗われます。

アンリの心変わりに焦るグレイス。「凱旋門」より『はかない夢』

一方、ロージィの目の手術代が欲しいアンリ。「何でも買ってあげるわ」というグレイスに、ついに大金を彼女からだまし取ります。
「ブラック・ジャック」より『それぞれの想い』を立樹、そして月影と歌い継ぎます。これも好きなナンバーで、盛り上がるんですよね。上手い使い方だ~、と思いました。

アンリはロージィと共に旅立ちます。『いつも夢みてた』を愛田がリプライズ。
立樹は、思い切りキザにがんばっていた誘惑シーンも面白かったけれど、愛田と出会ってからの芝居の方が、純朴な感じが似合っていてすごく良かったです。愛田の背丈に合わせて、かがんで話を聞いてあげている様子が優しそうでした~(^_^;)。
愛田も、この少しの時間の芝居を丁寧に演じていて、見応えありました。本当に「Icarus」のロージィそっくりな役作りで、懐かしかったです。

傷心のグレイス。仕事にも力が入りません。「殉情」より『素直になれない』
挫折したグレイスに、母の死という更に悪い知らせが。「エリザベート」より『ママ、どこにいるの』
一時映画界から身を引く事に。タイロンの言うがままに、世話になる事に同意します。
「ベイ・シティ~」より『What can you lose』

数年後、ほとぼりも冷め、タイロンはグレイスに、再起を賭けたリサイタルを開くよう勧めます。
「Action!」より『Action!』。生き生きとリハーサルに励むポール(壮)の様子に、母も亡くなった今、自分はどうして女優をしているのか、理由が見いだせず、心が痛みます。
「ベイ・シティ~」より『オリヴィアの幻覚』

撮影所から姿を消すグレイス。「凍てついた明日」より『冬の朝』
彼女のいないまま、開演ベルが鳴り、幕。

二幕はショー場面から始まります。まず幕開き、作品名を忘れてしまったのですが花組時代のショーのエトワールの衣装で、「華麗なる千拍子'99」より『幸運を売る人』
大階段いっぱいに広がるピンクラメの衣装です。ワイヤーで広げていました(^_^;)。懐かしい~。

続いて「ノバ・ボサ・ノバ」より『アマール・アマール』。「デパートメント・ストア」より『カミング・スーン』
「ラ・ヴィール」より『ベサメ・ムーチョ』では、月影は同作のブルーのスパニッシュの衣装を着ていました。「魅惑2」より『ビギン・ザ・ビギン』も、衣装はあのブルーと白の衣装でしたね。
「レ・シェルバン」より『クンバンチェロ』
立樹、壮がセンターで歌ったり、神月のソロがあったり、月影天希風早とのデュエットの部分があったりしました。

天希はさすがに同期の月影とのデュエットでもバシッと決めていましたが、風早は何か、おどおどしていて、お姫様を扱うようでしたね(^_^;)。風早のダンスも好きなので、ちょっと歯がゆかったですが・・風早らしいかな。
「Let's Jazz」より『I remember you』。この歌も大好き~。

リサイタルは彼女抜きで、ポールたちが代わりをつとめ、喝采の内に終わってしまいました。
ついにタイロンの元を去らなければならなくなったグレイス。チッチとミッチも首になってしまいます。
またいっしょにやろうという二人。けれど、グレイスはまだ自分が何をしたいのか分かりません。
二人に甘えてばかりもいられない。一人でやっていかなくては。

グレイスが大好きだった二人。別れは悲しいけれど、僕たちに涙は似合わない。明るくいこう! と「Let's Jazz」より『Bye Bye Black Bird』
同期三人のナンバーに、月影共々涙が止まりませんでした(;_;)。

「これからどうするんですか?」と問いかけるフレッド。「忘れないで下さい。沢山の人に夢を与えた事を・・。」と、フレッドが語る台詞の数々は、荻田先生からのメッセージのようです。
「メランコリック~」より『ラスト』。月影のソロからコーラスで盛り上がった所で・・。

「OK!」とカット。ここまでがリハーサルだった、というオチ。「明日もがんばりましょう!」とガッツポーズをしたりして、お芝居は終わりました。

幕前で立樹が「ドニエプル~」より『愛の言葉』
ヨアンナのパロディの芝居はあったものの、なんでこの歌が出てこないの~、と実は思っていたので、ここでまた嬉しくて号泣。以後は、もう月影の顔を見るだけで泣ける、みたいな状態でしたね(^_^;)。
初ヒロイン作品ですが、はじまるまで「月影瞳って誰?」って状態だったんですよね。それが、すごく綺麗な娘役さんで。今観たら、色々未熟な所が分かったかもしれないですが、当時はひたすら見とれていた覚えがあります(^_^;)。

続いて「けれど夢の中で~」より『小さな翼』でのダンスナンバー。この作品も良く覚えているんです~。愛華みれ、紫吹淳、匠ひびきが出ていて、ミーハーに喜んで観ていた事を思い出します(^_^;)。

月影がポスターと同じドレスを着て「アップル・ツリー」より『What makes me love him』
ラストの台詞を風早が朗読。
芝居部分はメンバー全体的に荒く、風早でも台詞をかんだりしていたのが意外でしたが、きっと荻田先生が、膨大な台詞をギリギリまで練ったからに違いないと、勝手に良いように解釈しています(^_^;)。でも、この部分など、ここ一番の台詞の上手さは流石でしたね。

「ドリアン・グレイ~」より『永遠の美と青春』。黒スーツの男役のダンス。続いて「凍てついた~」より『クライドのテーマ』で月影と天希のデュエットもありました。
そして、「凍てついた~」より『ブルース・レクイエム』安蘭けいがこの公演の為に新録音したそう。

同作そっくりの男役の振り付け。ボニーのような衣装に髪型、しぐさの月影。今まで演じたヒロイン達の台詞が流れます。「凍てついた~」の荻田先生ならではの演出ですね。

アンコールは舞坂のソロから。
続いて公文健作詞の「ツ・キ・カ・ゲ・ヒ・ト・ミ」。出身地を絡めた「緑の山々に囲まれた~」みたいな歌詞から始まる、いかにも公文さんな歌詞(^_^;)でしたが、良かったですよ~。

再びアンコールでは「すみれの花咲くころ」が流れます。袴で出てくるのでは? と思いましたが、シルバーのドレスでした(^_^;)。
朝海ひかるが花束贈呈に出てきて、抱き合って泣いていました。公演毎に渡す人は違っていたらしく、母が観た千秋楽は成瀬こうきだったそうです。

(満足度 ★★★★)

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