スサノオ/タカラヅカ・グローリー!
雪組/宝塚大劇場4/2~5/10
雪組大劇場公演「スサノオ/タカラヅカ・グローリー! 」、4/11に観てきました! 「スサノオ」は「鳳凰伝」「王家に捧ぐ歌」に続く、ヒット続きの木村先生の最新作。ほんの少し期待をして観ました。 初舞台生を含めた大人数によるコーラス、そして今回使用された和太鼓も迫力があって良かったです。セットや衣装がシンプルでモダンなのも好きでした。 しかし、全体の感想として、まず退屈でした。場面が変わらない、衣装が変わらない。「すばやい舞台転換、次々と着替えられる美しい衣装」。宝塚の舞台の特長であるこれらは、やはりかなり作品を助ける力になっているのだろうな、と思いました。 また、常に大人数が舞台に出ており、普段の私なら、物語がつまらなくても周りが観られれば退屈はしない筈なのですが(^_^;)、あまりずっと同じ衣装で出ているので、そのうち見飽きてしまいました。 お揃いの鬘なのがまた、個性を消しているような気がしますし、照明が暗い時が多く、太鼓をたたいているメンバーまでは表情が確認しにくいのもあるかもしれません。きっと下級生まで懸命に芝居に参加しているでしょうに・・。 今回も所々に拉致や新興宗教という時事問題を絡めていて、見ていてドキッとする部分はあるのですが、メッセージが断片化しており、「反戦」を高らかに歌い上げた「王家~」と違い、今回は全体の大きな流れとして、結局何が言いたいのかが分かりませんでした。 ラストにスサノオ(朝海ひかる)がいきなりイナダヒメ(舞風りら)にプロポーズ(?)するのも、トップコンビのために取ってつけたようで謎。いきなりスサノオが俗っぽくなりましたし、アマテラスオオミカミ(初風緑)が好きではなかったのでしょうか? 今回も物語には疑問点が沢山あります。 「王家~」はハマって何度も観劇したので、物語の隙間を想像で埋めて、勝手に解説して楽しんだりしましたが(^_^;)、今回も、通っている人にはそういう楽しみ方はできるかも。 もう一つの問題として、朝海に武力の神(?)スサノオというキャラクター設定が合わない、というのもあると思います。 「春麗の淡き光に」の時もそうでしたが、「強く逞しい男」は朝海には似合いません。 センターで伏せていた所を起き上がる登場シーンは「生まれたての神様」みたいでちょっとワクワクしたのですが。実際のスサノオの人物は、その場面の朝海から受けた印象とは全然違いました。 小池先生が涼風真世の為に「PUCK」を作ったように、誰か朝海ならではの、妖精的? 小悪魔的? 摩訶不思議? な魅力を生かしてくれる作家はいないのでしょうか? どうも今の話題優先の作品選定制度は、座付演出家の良さが出にくいような気がしてなりません。 イナダヒメの舞風は、懸命さが良く出ていました。 アマテラスオオミカミの初風、アオセトナの水には、流石に存在感があり、芝居を締めていました。 壮一帆は最初の出が、「エリザベート」のルキーニを思わせるハードなイメージを感じさせて、「おっ? ちょっと脱皮したか?」と思いましたが、シニカルなメッセージも後半は消え去り、良く分からない人物になってしまって残念。 後半に登場したアメノウズメの音月桂が可愛かった! キュート&セクシーで高橋留美子の漫画に出てきそうです(^_^;)。歌にはちょっと苦戦しているようですが、登場以降は釘付けでした。 天希かおりは天の岩戸をこじあけるタヂカラオの役で、力持ちそうなイメージにピッタリ。ちょうど飽きてきた頃に、雰囲気をガラリと変えて登場するので、出番は少ないけれど、この2人はおいしい役だと思います。 ショーは岡田先生のロマンチック・レビュー・シリーズ。全くの再現場面はなかったと思いますが、「シトラスの風」に似ている場面が多かったです。 しかし、ゆったりと黒エンビまで流れるオーソドックスなショーで、私は好きだと思いました。
中では、「長い」と言われそうな中詰の「ゴールデン・デイズ」が好きです(←今の所少数派^_^;)。 「With a Song in my Heart」の「オリエンタル・ファンタジー」も好きでしたし、甘~い、ロマンスものが大好きな、王道宝塚ファンなんです、きっと。 衣装がパステルで綺麗でしたし、若手までカップルが沢山いて、どこを見ようか忙しい程でした。 最近の宝塚って、スター以外のカップルのデュエットダンスが少なくないですか? デュエット好きの私としては、もっとあって欲しいです。 何年も春の初舞台生公演を観ていますが、幕開きに初舞台のラインダンスがあったのは多分初めてで、新鮮な構成だと思いました。 しかし「レビュー交響楽」のように、大ロケットがあってから続けて同じ衣装で初舞台生のラインダンスがあった方が、盛り上がるように思います。 プロローグの、娘役さんのロングチュチュのような型の衣装が綺麗でした。今回衣装は全体的に好きです。 メインの90人ラインダンスは、さすがに爽快でした。ふだんは下級生ばかりのロケットですが、スターやダンサーが入るとやはり違うのかもしれません。 「血と汗と涙、そして生命」は、明らかに「明日へのエナジー」再びを狙った内容で、二番煎じの感は否めませんが、衣装もモチーフも綺麗で良かったです。 そのモチーフの形といい、美穂圭子が歌い、朝海が踊る内容といい、「ON THE 5th」の「GOD Bless America」も思い出させます。本気の顔(?)で踊る舞風が新鮮でした。トップになっても、たまにはこんなダンスが見たいですね。 朝海は美しく、可愛らしいのは言うことなし。彼女がトップになってから、ショーにハズレ感がないのは、やはり彼女の力が大きいかな、と思います。 他では断然、天希。大活躍で、彼女には良いさよならだったと言えるのではないでしょうか。しかし、かっこ良さといい、ダンスの気持ちよさといい、納得の活躍でした。 反対に森央かずみには彼女らしい役がなくて、彼女も好きな私としては、少し残念。 エトワールが白羽ゆりでびっくり(^_^;)。でもちゃんと歌っていたと思います。とにかく美しく目立つ人で、これからがますます楽しみです。
(満足度 ★★★★★)
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