カナリア
花組/シアター・ドラマシティ12/21~29・ル テアトル銀座1/4~13
■ すっぴん |
Date: 2002-01-15 (Tue) |
ル・テアトル銀座のカナリアを見てきました。
1回のみの観劇なので、あいまいな部分が多いです。
この話はコメディーのようだし、ホロリとさせるところもあり、さいごにオチもつくという結構欲張りな内容になっています。
1幕は大いに笑わせてもらったにもかかわらず、終演後コメディーを見たという気持ちにはなりませんでした。
後半の芝居が重く感じられるせいなのか?
う~ん、よくわかりません。
私が勝手に思っている正塚作品のポイントは
「タフじゃなければ生きてはいけない、優しくなければ生きている価値がない」(byレイモンドチャンドラー)という言葉と「カッコ悪いけれど、カッコいい」の2点です。
そして今回の「カナリア」でこれを体現しているのは、大鳥れい扮するアジャーニ。
匠ひびき扮するヴィムのキャラクターが際だってこないのは、このせいでしょう。
真面目に頑張れば、頑張るだけ、墓穴をほってしまう間抜けな悪魔の役は、チャーリーらしい部分でもありますが、あいまいな役で魅力的に見える人ではないような気がします。
この作品の後「琥珀色の雨にぬれて」で卒業する人だからこそ、シャープでカッコイイ姿を見せて欲しかった。
ヴィム役の匠ひびき、幕開きの登場場面では、スタイルの良さときれいな動きでさすが!
ただし、歌になるとハッタリがきかなくなります。
会場の音響のせいか、観客にも音符がみえるような歌の場面が一カ所あって、それだけは勘弁して欲しかった(^^;)
チャーリーは動きで表現するタイプの人だから、1幕目は、教会で具合が悪くなるシーンをはじめとして、気持ち良く笑わせてもらいました。
2幕目になると、台詞のテンポのせいか、ちょっとお芝居がもたついてきて、大丈夫?なんて思っていたのですが、地獄を追い出されて死んだ悪魔が天国によみがえるという、未沙のえるさんとの場面
で、ちょっととまどったような明るい表情が良かったですね。
ショーの場面のダンスを見ると、昔の花組を思い出して懐かしい。
アジャーニ役の大鳥れい、のびのびと演じていて、気持ち良かったですね。
後半よりも、前半の威勢のいい”オネーちゃん”ぶりがよく似合っていて、ヒロインという枠からはみ出した色んな役を見てみたいと思いました。
ラブロー&変な司会者役の春野寿美礼、きちんと役のツボを掴んで演じているのに感心。
2枚目役の時より、はるかに魅力的で、今回の私のお気に入りです。
ウカ役の瀬奈じゅん、こちらはカッコ良さ担当で結構出番も多く目立ってましたが、ただそれだけという印象。
そして出てくると場をさらっていたディジョン役の蘭寿とむ。
なんで犬なの~(笑)でも似合ってたところがおかしい。
ヴィノッシュ役の遠野あすか、何をやってもそれなりにこなす人。
貴柳みどりさんの美しさや、キレのある動きの高翔みず希さんも目につきました。
そして、正塚作品のムードメーカーである未沙のえるさん。
出てきた時から、何かありそうな雰囲気でしたが、やっぱりこ~なるのねと、という役でした。
うさんくさくて、それでいてほっこりさせるのは流石。
■ 抹茶 |
Date: 2001-12-31 (Mon) |
花組ドラマシティ公演「カナリア」
(冷静に書こうと思ったのですが、少々ファンモードになっております。)
「LAST DANCE」以来の花組での正塚作品。当初の予定では「殺し屋」だった作品が諸々の事情により、コメディ作品へと変更となりました。
普段の正塚作品にあるメッセージ性などは、あまり強調されておらず、普通のファンには軽いコメディ作品として楽しめ、コアな宝塚ファンには、ブラックコメディとしても楽しめ、匠ひびきファンには、プレサヨナラ公演として思う存分泣けるという一石三鳥(笑)な作品に仕上がっていました。
欲張った分、あいまいなところがでてきてしまった面はありますが、むしろそのあいまいさの中に、様々な思いがオーバーラップして、ファンは涙無しでは観られません。短い時間で、これぞ座付き作家という仕事してくれた正塚先生には感謝の気持ちでいっぱいです。
ブラックコメディの面については、回数観なければ気がつかないのかもしれませんね。回数観ていても気がつかない人もいるでしょう。そういった意味でも成功していると思います。都さんの感想のレスになるのですが、小悪魔が6人いるのは、エリザベートの黒天使のパロディだと思います。ニュースキャスターのシーンも、地獄亭のシーンもきちんと意味があります。次のシーンへの布石もあります。
今回の作品は完全なあて書きなので、出演者のニンにどれも合っていました。
ヴィムという役は、チャーリーの純粋さ、生真面目さが反映されていて、はまっていました。シンプルな黒の衣装はチャーリーが本来持っている華やかさを強調していて良かったです。芝居は日に日に肩の力が抜け、表情も豊かになってました。歌も、こんなに歌わせてもらったのは初めてだと思いますが、よく頑張っていたと思います。ダンスについては、もはや言うことなし。赤い衣装のデュエットダンスは出色の出来。こんなシーンを見せてくれる人は当分現れないでしょう。欲を言えばマフィアの振り付けをチャーリーにも踊って欲しかったです。
アジャーニのミドリちゃんは、まさに当たり役。これ以上ないほどのってました。神父とニュースキャスターのオサちゃんは、芝居で出てきた人だけあって、つくづく役者だなと思いました。ウカのアサコちゃんは弟分の役で泣かせる台詞が多いです。ユミコちゃんと園加ちゃんの刑事コンビも、蘭トム君の犬(?)も、何役もこなしていたみわっちもみんな好演していました。今回の出演者全員一丸となってこの作品に取り組んだことがとてもよく伝わってきました。
匠ひびき主演のバウ作品は全て観ていますが、いつも出演者全員が生き生きと自分達の役割を果たしていて、フィナーレでは何とも言えない「ほっこり」した空気が流れるのですが、今回もそうでした。彼女の優しさのなせる技でしょうか。そんな花組をもう少し観ていたかったです。
■ ベール |
Date: 2001-12-27 (Thu) |
花組ドラマシティ公演「カナリア」を見てきました。
感想は一言面白かった~♪本当に久々に「花組」公演を見て楽しいと思えました。(暴言かしら・・?^^;)。私の今のご贔屓の組は雪・星ですが、先日「ガイズ」の前夜祭を見て、そして今回このDC公演を見て、良い作品をしてくれればどの組でも楽しめるのよ~!と真剣に思いました。(=私は谷・木村作品が苦手ってことなんですが・・・)
最近のDC公演にお芝居ものが続いたせいもありますが、当初のDC公演ってのは「ライト&シャドウ」や「ジャンプ・フォー・ジョイ」などショーが中心でしたし、その他でも年末DCは「Alas」や「聖夜物語」などどちらかと言えば、何も考えず単純に楽しめる作品でよいと思うんですよね。私は、「プロヴァンス」が好きでしたが(だって、あの重~い作品を3回も見たし・・・^^;)、あれは年末向きではないでしょう~と思った覚えがあり、そういった意味で、今回の公演は年末のこのクリスマスシーズンにはぴったりな作品だったなと思いました。同じDC公演でも、3月(又は5月?)と年末では少し趣が違うようなイメージがあります。
作品的には、まあ疑問点・矛盾点は多々ありました。大体、私たちは人間の常識からでしか物事を見れなくて、悪魔の常識と言われるものも人間の常識から想像した悪魔の常識であり、「幸福」「不幸」の定義すら、人間的な物の見方でしか見れないんですから、見てるうちに何だか段々混乱してきてしまって・・・
「幸福」「不幸」って色んな要素からできてるんですよね。アジャーリにとって、最初は「幸福」=「お金があること」だった。でも、ヴィムと出会ってしまって、彼女の幸福・不幸の基準がどんどん変化していって・・・。彼女の幸福はヴィムと一緒にいることで、でもヴィムの使命は彼女を不幸にすることで・・・。となると、彼女の不幸はヴィムと離れることなので、そうすると彼女を不幸にするためにはヴィムは何をすればよいんだろう・・??って考えると、何だか頭がごちゃごちゃしてきたんですが・・・(笑)でも、この辺りのみどりちゃんの演技はホント切なくて好きでした。
余談になりますが、悪魔と言えば、私はどうしてもカナメさんのメフィストフェレス(「天使の微笑・悪魔の涙」「ロスト・エンジェル」)を思い出し、その中で「悪魔が人を愛するの?」「違う!欲望だ!」ってセリフがすごく印象的だったんです。悪魔に「愛する」という感覚はないから、それを「欲望」と置き換えて表現したことに妙に納得したのを思い出します。それと関連してなんですが、今回の公演を見ていて、悪魔が「謝る」「後悔する」ってのは何だか妙な感覚だな~なんて思いました。
また、今回の公演を気に入ってしまった原因の1つに、かなり私的な感覚なんですが、セリフの端々に久世・安寿時代の正塚作品の香りを感じたことがあります。私が大好きだった頃の正塚先生の作品、本当に些細なセリフ・ちょっとした言い回しなんですが、すごく懐かしい気分になりました。多分、最近の正塚作品の主役は比較的「ああ。うん。」の無口系が多く、こう感情を露わにする主役が久々だったように感じたせいかもしれません。(実際は、そんなこともないのかな・・・?)演出は最近の正塚先生って感じだったんですが・・・
ヴィムのチャリーは、退団発表したことが良い方に表れたかなという気がしました。すごくノビノビと吹っ切れたような印象で、歌もアップテンポの曲はなかなか良かったです。バラードになると、もう少し歌えたらな~と思うものの、それがチャーリーよね、と自分を納得させたりも・・・(笑)。真ん中で踊るのはやはり本当に様になるし、みどりちゃんとの並びも思ったより似合っていて、特にデュエットダンスで相手役を綺麗に見せられるってのは素晴らしいなと思いました。
アジャーリのみどりちゃんは、あんたが主役!と言いたくなるくらいの好演ぶり。「ラブインシュランス」の優里ちゃんとはちょっと違いますが、ヒロインっぽくないさばさばした女性を、正塚先生は本当に上手く描きますね。不幸を背中に背負った逞しくしたたかな女から、ヴィムに惹かれていく恋する女性への変化が、全然違和感なく見れたのも彼女の演技力ならではだと思いました。地声で歌う歌も聴き応え十分でした。
ラブロー神父のおさちゃんは、何というご都合主義の神父!と可笑しくなってしまうんですが、捨て身の演技(?)が非常に印象的。ウカのあさこちゃんは、またもやチャーリーの弟分ということで、もう少し違う役を見たかったなと思いましたが、黒い衣装・黒い髪が何とも格好良い。ゆみこちゃんのヴァンサン刑事は、あまり物語に絡んでこず役も良くなかったですが、でもやはり印象は薄いような気がしました。ファンながら頑張れ!と言いたい気分でちょっと残念。蘭とむくんは、出てきただけでインパクトがある。犬の真似でお姉さまがたに甘えるところは本当に尻尾が見えるようで(^^;可愛かった。
ヴィノッシュのあすかちゃんは、綺麗な歌声とボケた感じが良かったけれど、個人的にはニュースキャスターのちょっと高飛車な感じの方が似合ってるような気がしました。最初の印象がヘレナ(Crossroad)だからかな・・・。小悪魔では、一花ちゃんのちょっと背伸びした子供っぽいキャラクターが可愛い。その他、真丘さんの変な美容師が妙にイナパクト大で頭から離れない・・・(笑)
最近、私はどんな作品でも比較的楽しめてしまう傾向にあるようで、今回もその例に漏れずという感じだったのですが、都さんの感想を読ませていただいてまあ頷く部分はあるものの、やはり私としては、一言「楽しかった~♪」ですませられる後味の良い作品でした。
最後に、余談となってしまいますが、次回に控えるぶんちゃんのDC公演は、風共にかなりメンバーを持って行かれてため、かなり少ない人数の公演になります。ぶんちゃんファンとしては、正直、このようなベストメンバーで楽しい作品を公演できたチャリーを少し羨ましく思ってしまいました。
■ JIMMY |
Date: 2001-12-25 (Tue) |
花組ドラマシティ公演「カナリア」観てきました。
正塚先生流、素敵な大人のおとぎ話。肩をはらずに、素直にチャーリー(匠ひびき)の持ち味を生かしてくれた作品で、とても良かったです。
ヴィムの匠ひびき。まずはその髪型に驚きます(^_^;)。身長が5cmくらい高くなっているんじゃないでしょうか。
でも、舞台を見ていて、すぐに思いました・・「これはみどりちゃん(大鳥れい)に合わせる為に違いない!」
すみません、すみませんっ!!
でも、本気で、そう思ってます(^_^;)。
そう思う位、大鳥と似合っていたんです。今回はこれを特筆しなければ始まりません。
ぜーったい、似合わないと思っていました。柄が違いすぎます。「母と息子に見えるんじゃないか?」と思っていました(^_^;)。
トップとしての期間が短いと分かってからも、それでも、一作でも舞風りらと組めないものだろうか、とか、「琥珀」なら、シャロンを檀れいにしてもらえないだろうか、等と思っていたくらいです。本当にすみませんm(__)m。
トップになってからの大鳥で、あまり好きな役がなかったのも正直な所です。それが今回のアジャーニは良かった! 「ヴェロニック」のアガート以上の好きな役に、ようやく出会えた気がします。
「不幸を絵に描いたような女」と聞いて、もっと暗~い女性を想像していましたが、大鳥は一文無しのルンペン直前の格好で登場。生き生きと気持ちの良い不幸っぷり(?)で、コメディとしての上手さも十分。一気に物語に引き込まれました。
悪魔と人間の女性、という立場の違いも、匠と大鳥には良かったと思います。匠はその髪型もあり、ちょっと斜に構えた仕草といい、時節柄か、マオさん(大地真央)を思い出してなりませんでした。どちらも頭が小さいですし、あの髪型も変にはならないんですよね。
相手役を見下ろす眼差しがたまらなく色気があって良いです(*^。^*)。髪型で頭の大きさの差も気にならなかったし(何度もすみません)、意外と身長差もあって、二人が近寄って見つめ合う図が素敵でした。二、三度そんなシーンがあったのですが、それを楽しみに通いたいと思った程です。
ヴィムに惹かれてからの大鳥の芝居も見事。物語を引っぱっていたと思います。
それだけに、一幕からずっと、物語の「どうすればアジャーニは不幸になるのか?」という点が気になって仕方がなかったです。
アジャーニがすごくヴィムに惹かれているのが分かるし、それが良かっただけに、アジャーニにとって、ヴィムに去られる事が、何よりの不幸になるのではないのでしょうか? ヴィムは悪魔学校を卒業できたのでは?
観客がそういう女心(?)で観てしまう事を、正塚先生は予想しなかったのでしょうか?
一幕、アジャーニが警察に逮捕される事が、悪魔の怒りを買います。「ヴィムがよりによって警察の手助けをした」と。
でも、警察に捕まったアジャーニは不幸だと思うんですよね。つまり、精神的な不幸と、倫理的な悪事との考え方がはっきりしなくて。
悪魔にとって、アジャーニが不幸になるにはどうすれば良かったのかが、良く分かりませんでした。
基本的には好きな作品で、最後のオチも、可愛くて気に入っているのですが・・。
何か核心を避けているような気がするのは「Practical Joke」と変わらず、と言えるかもしれません。
フィナーレのデュエットでは、匠と組むと、大鳥も動きがキレイになったような気がします(^_^;)。たもさん(愛華みれ)ごめんなさいm(__)m。
本当に、意外な程、デュエットも良かったです。
もちろん、男役の黒タキシードの群舞もあって、それがもう、匠の背中に、「お待たせしました」の文字が見えましたね(^_^;)。待ってましたよ~。
匠の動きの良さもさることながら、群舞のバシッとした揃い具合が嬉しくて。
絶対に花組全体にも、匠がトップの今、ダンスの花組を見せなければ! という意識があっただろうと思います。
一つだけ言うなら、私的には、匠があの大きな頭のままだったのが残念でしたけれど(^_^;)。
とにかく、次の大劇場公演がずっと楽しみなったトップコンビ振りでした。私には大収穫です。
春野寿美礼と遠野あすかが神父とシスターのコンビ。「きっと次期花組トップコンビなんだろうな」と思わずにはいられない程、ずっと一緒でしたが(^_^;)、見た目のバランスも良く、似合っていると思いました。
春野は大鳥との燭台のやりとりが面白く、歌も良い。
遠野は実力があるのは知っていましたが、舞風、沢樹くるみらがいる娘役の群舞のセンターに位置しても、違和感がない華やかさに感心しました。彩乃かなみとのトレードはヒットだと思います。
ニュースキャスター役では、スタイルの良さといい、コケティッシュさといい、思わず目を奪われてしまって、春野が大人しく見えるくらい(^_^;)。
瀬奈じゅんはヴィムの後輩の悪魔で、見た目が相変わらずかっこ良い(^_^;)。
瀬奈筆頭に、匠に付き従う小悪魔達が舞風、桜一花、高翔みず希、達つかさ、沢樹、水月舞。桜の可愛らしさとキビキビした動きが目立ちます。ボブの鬘が似合っていますね。
矢代鴻はいつもの「良い女」路線でなく、悪魔学校の校長先生というコミカルな役所でしたが、見た目に派手に工夫して、いかにも存在感がありました。
きっと、正塚先生の意図として、「可愛いヴィムを手放したくないわ、おばちゃま。」みたいな(^_^;)、匠のファンとかぶせるようなキャラのイメージがあったのではないかと思うのですが、その辺り、もっとオーバーに見せて欲しかったです。
この役も未沙のえるだと面白かっただろうなぁ(もちろんおばちゃまでね)。
その未沙のえるは、物語のキーパーソン。持ち味通りの役柄でバッチリでした。
それにしても、正塚先生、物語にルンペンを出すのが好きですよね(^_^;)。
彩吹真央は人の良さそうな刑事。役不足だけれど、台詞が男役では抜群に上手いし、今回は席が遠かったせいか、ダンスシーンでのスーツの着こなしと、動きの良さが何度も目につきました。
部下の役が桐生園加。台詞はほとんどなかったけれど、存在が可笑しかったです(^_^;)。まだまだ可愛らしいけれど、客席の反応も良かったし、既に人気の男役になっていそう。
蘭寿とむは、最初大鳥に凄むチンピラだったのが、匠の力ですっかり従順になってしまって・・という役。とにかく目立つし、愛嬌があるし、ピッタリの役でした。持ち味を良く分かってるわ~、正塚先生(^_^;)。
従順になったのは良いけれど、ヴィムは放ったらかしですし、何かもうちょっと物語に生かして欲しかった気はします(^_^;)。
正塚先生の作品は、役が少ないんですよね。愛音羽麗も、もう少し何か活躍する所が見たかったです。「まじっすか?」の銀行員はなかなか可愛かったですよ。ルンペンの方は、存在の意味が良く分かりませんでしたが(^_^;)。
■ 都 |
Date: 2001-12-25 (Tue) |
花組ドラマシティ公演「カナリア」を、12月22日と24日、2回観てきました。
2回観終わって、DC公演の意義や目的、その難しさなどをつらつら考えてしまいました。楽しい喜劇作品で、そこまでつきつめて考える必要がない、とわかってはいるんですが、DC公演、今年はまみさん(真琴つばさ)の
「Practical Joke」があって、同じ正塚作品、それとどうしても比べてしまうのです。いろいろなことを。同じプレ退団公演なのに、と。
DC公演は、お芝居のみの2幕モノということで、形式的にはバウ公演と同じ。しかし、バウが若手主演者、演出家の挑戦の場、実験の場であるのに対し、DC公演は、外部の劇場を借り、メンバーも実力者を厳選する、いわば外へ開かれた宝塚啓蒙公演だと思います。大劇場公演でも2幕モノはありますが、興行的に成功させることが第一条件となりますから、宝塚的セオリーは外せない。DC公演は宝塚の枠を少しはみ出し、“普段できないことも取り入れた、上質な舞台が作れる・楽しめる”、そういうものだと思います。
そう考えると、DC公演は、かなり手をいれ、頭を使いながらていねいに作る必要のある公演ではないでしょうか?バウのように勢いだけで乗り切ってはいけないのです。また、トップもしくは準トップが主演を務める公演です。その持ち味を最大限生かすことが最低条件ではないでしょうか?
このところが、今回、私と正塚先生が食い違っていたような気がします。
まず、空間的・時間的に“物足りなさ=薄さ”が感じられてしょうがなかったのです。プログラムの正塚先生の言葉にもありますが、最初の構想から方向転換したせいなのか、正塚先生が「普段からちょこちょこためておいたアイディアの引き出しを慌ててひっくり返し、出てきたものをちゃちゃっとつなぎあわせて作ってみたけど、やっぱり時間切れでした」という感じです。
タイトル兼小道具の“カナリア”も結局なんだったのかな?天国へ導くガイド、といえばそれはわかりますが、ホントにそれだけだったのでしょうか?未沙のえるさんの存在で、いろんなことをうやむやにしてませんか?
「空間的」に薄い、というのは小悪魔たちの存在が代表例。人間界に降りるチャーリー(匠ひびき)演じるヴィムに従って、常に行動を共にするウカ=あさこちゃん(瀬奈じゅん)まではいいとして、さらに6人もの小悪魔たちがくっついていて、合いの手を入れたりしています。齋藤吉正作品によく出てくる3人娘からナビゲーター的役割を抜いた感じです。
が、この6人、いる意味はよくわからないけど、いなければ寂しいってことは、空間的にもたなかった、ということ
。「時間的」に薄い、というのはニュースキャスターを登場させてテレビ番組風にエピソードを紹介したり、副組長を主人にした悪魔のお店(?)で場をつないでみたりしていること。
潤沢に生徒が出ているのに、役不足の人、描き込み不足の登場人物、主役との関わりが全くわからない人物が多々あって、それももったいないのひとことにつきます。
物語の芯はしっかりしていて好感が持てるのに、左右への“振れ”が少なくて物語の起伏に乏しく、そういうエピソードや空間を埋める人物でなんとかつぎはぎしているのは本当に惜しいのです。他にもっとやれることがあったはずだ!正塚先生なら!と思ってしまいました。
ひとことで感想を言うなら、「正塚先生!もっと頑張れ!」です。あの内容なら1幕分に収められます。これなら、2幕目はチャーリー(匠ひびき)中心のダンスショーにして欲しかったとさえ思います。
この作品で正塚先生はチャーリーに何をさせたかったのだろう。それもわかりませんでした。1幕目の最後、行き交う人の間を縫うように歩きながら、切ないメロディを切々と歌い上げて幕が下りる・・・ちょっと待った!まみさんの「Practical Joke」と全く一緒じゃないか~!?と叫んでしまいました。
あのときは、まみさん=ドイルは気持ちの行き場も、明日からどうすればいいかもわからず、迷い悩み、苦しんでいる状況で、それはあの幕切れにふさわしく、何度観てもぐっと来るものがありました。
しかし、チャーリー=ヴィムは何をあんなに長い時間、深刻な顔をして悩んでいるのか?チャーリーにはチャーリーに合ったスタイルの悩ませ方があるでしょう。何もまみさんと同じことをさせなくても・・・。いや、これはまみファンの戯れ言かもしれません。
それでも、プレお披露目公演のはずが、プレ退団公演になってしまった今回のDC公演。たった2つだけのチャーリーのトップとしての主演作がこれでいいのか・・・ファンはこういうチャーリーを見たかったのかなぁと思うのです。まみファンとしては、まみさんのこの上なく格好よい姿を「PJ」で見せてもらっただけに、なんとも複雑な気分です。
格好よさの部分はあさこちゃん(瀬奈じゅん)に取られちゃうし、コミカルさはオサちゃん(春野寿美礼)が一枚上手、ダンスシーンはあるようなないような・・・。「こういうチャーリーが観たかった!」といえるのでしょうか。さらに一歩進めて、これから宝塚の歴史に残っていくトップスターのひとりとして、“こういうスターさんだったよ”と輪郭がくっきり浮かびあがるような作品にしてあげて欲しかった・・・このままでは“前代未聞のハローグッバイトップ”という肩書きの方が残ってしまいそうで。短いトップ期間だからこそ、集中して最高といえるものを作ってあげて欲しかった。
それとも、それだけのモノを演出家から引き出せなかった、引き出してもらえなかったチャーリーにも、足りないものがあったのかもしれません。
でも宝塚の喜劇としては、とても面白かったです。笑わせてもらう部分はホント素直に笑えました。「フィガロ!」のときのように、客席の笑いに取り残されることもなかったし、嫌みやくどさを感じることもなかった。ここはさすが、正塚先生のウイットに富んだセリフの上手さあってこそのことだと感じました。
ヴィムがアジャーニに出会うことで、自分の生き方や想いが変わるところは、「PJ」のドイル&ジルよりも自然で、後味の悪さはありませんでした。
“大劇場ではできない上質なお芝居を見る”。この点に関して、生徒とは食い違いはなかったようで、それぞれの生徒さんには存分に楽しませてもらいました。
まず何といってもみどりちゃん(大鳥れい)でしょう!!よかったです。舞台の上で本当に生き生きしてました。これは間違いなく、彼女の代表作といってもいいと思います。ドスの効いたはじけたところはもちろん、怒り、笑い、切ない感情、くるくると気持ちが変化し、それが客席にきっちり伝えることができる技術もあった。これはトップ娘役としてのキャリアあってこそ。本人も充分な手応えを感じているようで、1回目に観たときよりも2回目に観たときはさらに調子を上げているのがわかりました。私は大劇場でトップスターに寄り添ってなよっているみどりちゃんより数段好きです。
おそらくは次期花組トップであるオサちゃん。1回目は存在がわけわからない神父、だったのですが、2回目見た時はふっきれ具合が上がっていて、面白かったです。あさこちゃんより舞台上にいる時間は短いのですが、見終ったあとに印象に残っているのはやはりオサちゃんでした。セリフの間の取り方、歌がやはり上手いのでしょうね。ダンス、芝居も破綻なく、トップに据えられるのはわかります。
あさこちゃんは、黒髪に黒づくめのスレンダーなスーツ。こういう格好いい役を当てたくなるというのが、あさこちゃんの持ち味、武器なのでしょうね。でも役柄的にヴィムにくっついているだけなので、最初は格好いいんだけど、だんだん“それだけ”になっちゃうのがもったいないな、と思いました。
ゆみこちゃん(彩吹真央)は刑事。ごめんなさい、それだけです。もったいない使い方です。部下の刑事役はケロちゃん(汐美真帆)に似ているともっぱらの評判の桐生園加ちゃんでした。初めてオペラでじっくり見たのですが、????似てますか?確かに濃い目の男役顔という点では同じですが・・・???
ぽっぽさん(貴柳みどり)や高翔みず希さんなど、もったいない使い方されている人も多かったけど、それぞれに精一杯頑張ってたと思います。遠野あすかちゃんのシスターも上手かったです。
それから!すっかり気に入ってしまったのが蘭とむ(蘭寿とむ)くん!可愛くって上手いの!!最初にスリの元締めですごむところとか迫力があって格好いいし、人柄が変わってからの小心者の卑屈さも可愛くて!ギャングの一員でストライプスーツ&帽子で出てくるところも格好いい!(・・・「ガイズー」に助っ人にきてください・・・)ついつい舞台に出てくると追いかけてしまいました。ぜひ!蘭とむくんのバウ主演作を見てみたいです!
最後にチャーリー。余裕がないんだろうなぁと私は思いました。役作りでもそう、舞台の主演者としてもそう。トップとしても・・・そう。これはしょうがないですよね。スタートの前にゴールが見えてしまっている状態で、どういう気持ちでいればいいのか。
他の出演者は1回目よりも2回目見た時、どんどん変わって来ていたのですね。でもチャーリーはほとんど同じでした。もうつつ一杯なんだと思います。最後まで頑張って欲しいです。
歌が下手と言われていますが、私はそこまでひどいとは思いませんでした。そりゃ上手ではないでし、気持ちを乗せきれているかというとそうじゃないけど・・・。面白いな、うまいなーと思ったのは、教会でのシーンかな?最後のフィナーレダンスは格好よかった!みどりちゃんとのデュエットダンスもしっくり合っててよかったです。
舞台装置は「血と砂」に出て来ていたような、上にも登れるセットみたいなのがいくつもあって、それを左右から出したり、斜めにしたりして使っていました。舞台上はなんとなく暗めです。お衣裳は普通・・・かな?特に印象に残るものはなかったです。
オープニングとフィナーレのダンスはさすが「ダンスの花組!」でした。フィナーレも「PJ」よりも長めだったような気がします。
それと、これだけは言わせてください。正塚先生は、最後、ヒロインを一人残して不幸にするのが好きなんですか~~~!?アジャーニもジルも一人取り残されて、泣いてるじゃないですか!?なのに、ドイルもヴィムも晴れ晴れとした顔で新天地で暮らしているの!
アジャーニはそれでもたくましく生きて行くだろうな、って思えるからまだ救いがあるけど・・・・。
あんなにヴィムが与えたがった“不幸”に、最後はアジャーニは落ちてしまったという皮肉な結末は意図されたものだったかどうか聞いてみたいです。
それでも、何も考えずに観れば楽しい公演だと思います。悲劇のトップのお披露目・・・ではあるけど、それにとらわれず、楽しんでみるといい作品だと思います。
■ JIMMY |
Date: 2001-12-19 (Wed) |
「カナリア」は、正塚先生のオリジナル。チャーリー(匠ひびき)のトップ披露公演となる筈が、サヨナラ前の公演になってしまって・・(;_;)。新公時代から良く当たっていた正塚先生の新作が最後に見られるのが、せめてもの救いでしょうか。
あらすじを読むと、悪魔学校の優等生だそうで、一生懸命、人を不幸にする為にがんばるチャーリーの姿が、目に浮かぶようです(^_^;)。
前作「Practical Joke」があまり嬉しい作品ではなかったのですが、きっとチャーリーを良くご存じだと思うので、良い所を生かしてくれるだろうと、楽しみにしています。
皆様の書き込みをお待ちしております!